未来への事業戦略
BUSINESS STRATEGY FOR THE FUTURE
中期経営計画
トーハンでは2019年度から5ヵ年の中期経営計画『REBORN』を策定し、この期間を事業構造改革に取り組む第二の創業期と位置づけています。「本業の復活」と「事業領域の拡大」の二方針のもと、マーケットイン型流通とプロダクトアウト型流通を融合させた新たな商品供給モデルを構築し、併せて企業としてさらなる成長を期すため新規事業にも積極的に挑戦しています。
STRATEGY 01
本業の復活
出版社や書店との連携のもと、広く世の中に出版物を流通させてゆく、取次としての本業を進化させていきます。
従来は、出版社が発行した出版物を、書店の立地条件や販売実績などに基づき配本するプロダクト・アウト型流通がメインでした。しかし、近年は出版を取り巻く環境が大きく変わり、より読者のニーズに沿った流通システムの構築が求められています。これに対しトーハンは、マーケット・イン型流通の導入を提唱しています。新刊情報を元に書店が需要を見極め、マーケットを起点とした必要部数をトーハンが出版社に伝え、出版業界としてお客様へのより確実な販売を可能にしていく構想です。新しい流通システムの構築と並行して物流機能の再配置を進め、他の取次との物流協業も含めて流通合理化を推進し、持続可能な出版流通ネットワークを構築していきます。さらに、旧来の取次の枠を超え、本業領域における新規事業も積極的に開発し、デジタル事業などの新たな付加価値を伴った出版流通ソリューションを提供していきます。
マーケットイン型出版流通の具現化
トーハンは、マーケットイン型出版流通の構築を通して読者や書店のニーズを起点とした流通を実現し、人々が必要な時に必要な本を手軽に入手できるインフラを整備し、これからも出版文化の普及向上に貢献していきたいと考えています。
業界を繋げる接点として、2022年10月に新仕入プラットフォーム「en CONTACT」を稼働させる予定です。業界のインフラであるJPRO情報(出版社の新刊情報など)を活用し、業界三者(出版社・書店・トーハン)にとって効果的・効率的な新しい仕組みを構築しています。
出版社向けWEBシステム
出版社から仕入を行う商品の仕入受付から部決(部数決定)までをシステムに集約することで業務効率化をはかり、集約した情報を活用し販売へ繋げます。
書店向けWEBシステム
書店からの仕入希望数の事前申込をシステムで行うことで、読者が欲しい商品が書店を介しトーハン、そして出版社へ共有されます。この2つの新しい流通システムにより、トーハンが目指す読者・書店起点のマーケットイン型出版流通を実現させていきます。
トーハンは、マーケットイン型出版流通の構築を通して読者や書店のニーズを起点とした流通を実現し、人々が必要な時に必要な本を手軽に入手できるインフラを整備し、これからも出版文化の普及向上に貢献していきたいと考えています。
デジタル事業を加えた新たな付加価値の創出
2021年3月、最大手の電子書籍取次会社、株式会社メディアドゥと資本業務提携契約を締結しました。社会のデジタルシフトが進む中、地域の書店がデジタル事業に参画でき、紙の本も電子書籍も販売できる新しいサービスを構築し、取引先に提供していきます。
書店での電子書籍販売
地域の書店が、紙の本に加えてデジタルコンテンツも自店舗で販売できるスキームを構築します。
世界初・NFTデジタル特典付き出版物の流通を実現※
ブロックチェーン技術を活用した「NFTデジタル特典」をメディアドゥと開発し、2021年10月から商品化をスタートしました。
※「NFTデジタル特典」は出版物などの購入者が追加費用を負担することなく、特典取得と同時にNFTがブロックチェーン上に発行される仕組みであり、このような仕組みでNFTを出版物につけることは世界初の試み。電子図書館サービスの拡大
コロナ禍でニーズが高まっている「電子図書館」について、メディアドゥおよび地域の書店と連携し、電子図書館システム「OverDrive」の導⼊を進めています。
STRATEGY 02
事業領域の拡大
本業を万全の体制で継続してゆくため、自社による新規事業分野への参入や、他企業との提携によるグループ事業領域の拡大を進めます。これにより、本業へのシナジーを追求するとともに、企業としての新たな成長の柱を築いていきます。
すでに、保有物件を活用した不動産事業、手軽にトレーニングを楽しめるフィットネスジム事業、働き方の多様化に対応したコワーキングスペース事業を新たに展開しています。
これらに加え、社内組織としてエンタメ・インベストメント・ラボ、エンタメ・スタートアップ・ラボ、ビジネス・デザイン・ラボを編成、若手社員を中心に調査研究と事業化プランニングを行っています。
カフェのような入りやすさと集中できる環境を兼ね備えた「HAKADORU」を運営し、テレワークの定着など働き方の多様化に対応しています。店舗では「はかどる」ことをテーマにセレクトした本やワークチェア、コーヒーなどにもこだわり、すべてのハカドリたい人にとって最高のハカドル環境を追求しています。
エンターテインメント分野における新規事業を開発する“ラボ”から生まれた「YouTube事業」。本の魅力を面白いエンタメとして提供する、YouTubeチャンネルを開設しています。
YouTubeチャンネル「出版区-SHUPPUNK-」
STRATEGY 03
SDGsへの取り組み
出版界は、人類の知的活動の結晶である「本」を通して、SDGsに挙げられたすべてのゴールの達成に深いかかわりを持っていると言えます。その中で出版物の広範な流通を担うトーハンは、出版社と書店・読者をつなぐ重要な役割を負っていることから、将来にわたり安定的かつ効率的な出版流通ネットワークを構築し、誰もが本へとアクセスできる環境づくりに取り組みます。そして、本の流通を通して自由かつ多様な出版活動を支え、お取引先とともにSDGsの達成に貢献していきます。