第30回北京国際図書博覧会、昨年以上の盛況 日本館では新たな取り組みも トーハン近藤社長は日中双方の書店を取り巻く環境について要人と意見交換
このほど、北京で開催されていた「第30回 北京国際図書博覧会(2024BIBF)」が盛況のうちに会期を終えました。株式会社トーハンが運営する日本出版社の展示エリア「日本館」には昨年比で2倍以上の出版社が出展し、テーブルを囲んで連日活発に版権商談が行われました。
「日本館」では商談に加え、中国で主流の販売方法である「ライブコマース」での和書販売や、ジェトロ(日本貿易振興機構)と連携した展開なども行われ、多数の来場者でにぎわいました。
トーハンの近藤敏貴代表取締役社長も同会場を視察し、出版文化に対する中国の高い関心をあらためて確認しました。現地滞在中には、中国書籍雑誌流通業協会・艾立民理事長ほか各界要人との会談を重ね、それぞれ自国の書店に対する国や行政の支援状況について情報交換を行うとともに、日中双方の出版産業活性化に向けて今後も活発な交流を目指すことで一致しました。
2024BIBF 会場の様子
- 「日本館」は会場フロアのうち、海外参加国としては最大規模のスペースで展開
- 陳列棚には翻訳出版用見本約800点を展示。見本出展出版社数は昨年に比べ大幅に増加
- 同エリア以内では、「ライブコマース」での和書販売も実施
- ジェトロ(日本貿易振興機構)も、日本製品を海外へプロモーションするオンラインカタログ「Japan Street」の広報ブースを展開
- 会 期 2024年6月19日~23日
- 主 催 中国国家新聞出版署ほか
- 出展国数 71カ国・地域
- 出展社数 1600社
- 来場者数 約30万人
表敬訪問
●中国書籍雑誌流通業協会
中華人民共和国民政部(日本の総務省に相当)により、1991年に設立。出版流通にかかわる機関で構成された非営利組織。会員は約700団体(小売・卸売・EC事業者・輸出入事業者・古書販売事業者・その他物流など)
懇談の要旨
トーハン 近藤 敏貴 社長
「日本の国内書店数は20年以上減少が続いており、書店の無い自治体も多い。」
「この現状を変えるべく、JPICでの読書推進や政府へのロビー活動を行っているが、
中国や海外各国の、出版への公的支援は、日本と比較にならないほど充実している。」
「今回、意見交換をさせていただき、中国の取り組みを是非参考にしたい。」
中国書籍雑誌流通業協会 艾 立民(アイ・リーミン) 理事長
「中国のリアル書店もEC書店との価格競争もあり、大変困難な局面である。」
「それに対し、中国政府は2035年までに「文化強国」を目指すという政策を打ち出している。」
「政策実現にむけ、政府はこの10年間の間に出版社の法人税免除や取次、小売の増値税免除(日本の消費税に該当)等の優遇政策措置をとっている。」
「また、中国ではキャッシュレス決済が主流だが、書店側の決済手数料も政府の指示により免除されている。」
「さらに、国だけではなく各地方政府も書店支援に乗り出しており、上海市などは書店の新規出店に対し、最大で50万元(日本円で約1,100万円)の補助金を支給している。人件費や家賃、店内イベントといった運営費も補助対象だ。」
「これからは、「出版は文化の基盤である」という認識が必要で、それは国や行政が主導していかなくてはならない。」
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