トーハンと大日本印刷 出版流通改革を共同で推進 桶川書籍流通センター(桶川SRC)へ配本機能を統合し、製造物流の最適化を目指す
株式会社トーハン(本社:東京 代表取締役社長:近藤敏貴)と大日本印刷株式会社(本社:東京 代表取締役社長:北島義斉 以下:DNP)は、2021年より全面的に提携し、「製造物流改革」「情報流通改革」「商流改革」「販促改革」の4つの観点から、生活者を起点とした出版流通改革(出版DX)に取り組んでいます。今回両社は、「製造物流改革」の一環として、東京都北区にあるDNP書籍流通センター(以下:赤羽SRC)をトーハン桶川センター内へ移設して、桶川書籍流通センター(以下:桶川SRC)とすること、および関連する取り組みの拡大について合意しました。
【トーハン・DNP間の合意事項について】
1.赤羽SRCをトーハンの書籍総合流通センターであるトーハン桶川センター内へ移設します。
*移設後の名称は、桶川書籍流通センター(以下:桶川SRC)。
所在地は、埼玉県桶川市大字上日出谷1202-1 トーハン桶川センター5階。規模は、床面積1,200坪です。
*なお赤羽SRCは、DNPと丸善ジュンク堂書店が共同で整備し、DNPグループの書店を対象に運用している在庫流通拠点
です。店頭在庫補充機能と通販対応機能を持ち、最短で受注翌日の出荷を実現し、流通リードタイム短縮による販売
機会の最大化を図っています。
2.桶川SRCの連携書店および、本センターと在庫データを連携する出版社の拡大を進めます。
3.桶川SRCは2022年10月稼働の予定です。移設は順次進めて2023年1月に完了する予定です。
【桶川SRCの特色と効果】
桶川SRCでは、本センターを活用する書店からの注文に対し、本センターの在庫および、在庫データを連携する出版社倉庫の在庫から迅速な出荷を行い、さらにPOD(プリント・オン・デマンド)製造による品切れのない出荷を行ないます。「商品供給リードタイム」と「出荷可能なラインナップ」の両面から可能な限りマーケットの需要に応えることで、読者が読みたい本を読みたいときに入手できる環境を整備します。
現在両社で、赤羽SRC未利用の書店店舗の注文データを共有・分析し、赤羽SRCの時系列在庫データに引き当てて試算したところ、注文から書店納品までのリードタイムの改善やPOD製造での商品供給で課題解決に繋がる以下の効果が見られ、データを共有した対象書店からも評価を得られました。
○効果① 市場ニーズに沿った在庫メンテナンスを行い、最短で受注翌日に書店へ納品
書店注文の30%相当が、翌日納品可能であり、出版社倉庫からの取り寄せも含む全ての注文品の平均リードタイムが、2日間短縮できるという結果を得ました。こうした結果も踏まえて、桶川SRCは連携書店の拡大を進めます。現在赤羽SRCで連携しているDNPグループの書店および、連携を予定していたトーハングループ書店と三省堂書店に加え、今回新たに未来屋書店の本実証実験への参画が決定しています。両社は、引き続き広く書店の参画を呼び掛けます。
○効果②:出版社在庫のデータ連携により、取り寄せ品も一週間以内に書店へ納品可能
現状、生活者からの注文の約30%が出版社在庫からの出荷となっており、桶川SRCは、出版社在庫とのデータ連携を行うことで、書店店頭で出版社の在庫状況も確認できるため、読者に利便性・安心感を実感して頂けます。桶川SRCは出版社との在庫データ連携を拡大していきます。現時点で、連携出版社は赤羽SRCでの14社から22社に増加しており、引き続き連携出版社の拡大を図ります。
○効果③:在庫がない注文に対して、PODで確実に書店へ納品可能
生活者からの注文のうち約15%はSRC・取次・出版社に在庫がなく、短期での調達が困難となっています。これに対し、桶川SRCはDNP書籍製造一貫工場と連携し、PODによる短納期・小ロット生産で”新刊・売れ筋商品の欠品”と”品切れ重版未定”の根絶を目指します。
<上記グラフについて>
・ 今回行った赤羽SRC未利用書店の店舗在庫のシミュレーションを可視化したもの。
発注から書店納品までのリードタイム及びそのボリュームを検証しました。
・ 上段:現状/下段:SRC連携想定時
・ 横軸:発注から納品までのリードタイム ※「15+」は、納品まで15日以上経過したもの(不着含む)/
縦軸:各納品日の注文に対するボリューム
【今後の展開】
両社は、「商流改革」の一環で、読者ニーズを起点とした共同仕入れの取り組みとして「マーケットイン型販売体制」の確立を目指しています。
トーハングループ書店(ブックファースト・八重洲ブックセンター等)が複数出版社と取り組んできたマーケットイン型販売契約の実証実験を発展させ、DNPグループ書店(丸善ジュンク堂書店等)および、桶川SRCの新規参画書店である三省堂書店・未来屋書店との共同施策への拡大を目指し、新しい施策推進体制を構築すべく協議を開始しています。
なお、トーハングループの先行実証実験では、対象出版社のPOS売上前年比101%、返品率14.9%ダウンの20.9%の実績を上げています。
今後、2022年10月の桶川SRCの稼働開始に向けて、現在稼働中の赤羽SRCにおいても、先行的に書店と倉庫や製造のデータ連携を進めていきます。
トーハンとDNPは、さまざまな書店と連携して、「読者が読みたい時に読みたい本を確実にお届けする」体制の構築を目指します。出版DXを実現し、将来にわたる出版文化の持続的発展を図るべく、趣旨に賛同いただける出版社・書店の参加を継続的に呼び掛けていきます。
この件の取材申し込み・お問い合わせ等は、お問い合わせフォームよりお願いいたします。
お問い合わせフォームはこちら