社長挨拶

書物とは、言葉を得て文字を編み出した人類が、時を超えて営々と築いてきた知的活動の結晶です。その歴史の最先端で、トーハンは1949年の設立以来、取次として本の流通の一翼を担ってまいりました。

変わりゆく時代の中でトーハンもつねに変革に取り組み、2024年度からは新たな中期経営計画『BEYOND』がスタートしています。

『BEYOND』は「本業改革」と「事業領域の拡大」を二大方針としています。取次としてあらゆるステークホルダーと連携し、将来にわたり持続可能なコンテンツ流通ネットワークの共創を進めています。情報技術を駆使してマーケットイン型流通へのシフトを加速化し、コンテンツの創出・本の製造・流通・販売が有機的に連動することで、誰もが読みたい本を読みたいときに手にできる環境の実現を目指しています。

マーケットイン志向と不可分の課題として、本を書店や読者までお届けするフィジカルな物流ネットワークの維持・拡大も、今日の出版業界のみならず、これからの文化・社会の発展のためには避けて通ることはできません。いわゆる2024年問題も一つの通過点として、トーハンは多数のパートナー企業とともに出版物流のポテンシャルを高め、他産業との協業も視野に入れた新たな物流ソリューションの再構築に挑戦しています。

こうした本業改革と並行し、新たな成長エンジンとなるトーハンの新規事業やグループ企業による関連事業も鋭意展開しています。トーハングループが蓄積してきた経営資源と確かな知見を活かし、ユーザーの視点に立った新たなプロダクトやサービスの開発に取り組み、つねに新しいビジネスの可能性を追求しています。

今日もまた、読み手に望まれ、書き手を衝き動かした新たな一冊が、人と本の歴史を紡いでいます。私たちは中期経営計画『BEYOND』の展開を通して、これからも出版文化ひいては社会全体に貢献できるよう、たゆまぬ挑戦を続けてまいります。

代表取締役社長
近藤 敏貴
代表取締役社長 近藤 敏貴